調査のポイント

①購買決定要因

商品写真・動画による視覚的訴求が購買意欲向上に大きく影響。

②ギフト需要

贈答用途での和菓子選びにおいて、オンライン購入の利便性が重視される傾向。

 

主な調査結果

 

はじめに

近年、若年層を含む幅広い世代が和菓子を楽しむ一方、
洋菓子や海外スイーツに押され、
和菓子業界は新しい販路開拓や商品PRの方法を模索しています。

そこで私たちは、アンケート調査を実施し、
実際のユーザーの声や傾向を探りました。

ここではその結果と考察を紹介しつつ、
和菓子屋さんが抱える課題や可能性を浮き彫りにします。

 

私たちについて

私たちは、和菓子を広める専門メディア
「mochimoji-モチモジ-」を運営しています。

「モチモジ」は、日本の伝統文化である和菓子の魅力を
全国各地の和菓子屋さんの取材を通じて発信し、
国内外での認知度向上に取り組んでいます。

和菓子の伝統や職人の想いを多くの方に届けることで、
業界全体の活性化を目指しています。

コロナ禍を経て、和菓子のオンライン購入が一般化。
実店舗での購入が難しい地方在住者や、
時間に制約のある層にとって、
オンラインショップは重要な購入経路となっています。

 

＞アンケート結果＜

甘さの好み

考察

多様な嗜好の確認

1

「やや甘めが好き」と「控えめな甘さが好き」に回答が分かれていることから、甘味に対する嗜好は一枚岩ではなく、一定の幅があると考えられます。強い甘さよりも、ほど良い甘さを求める嗜好が比較的多い点が特徴的です。

💡商品開発のヒント

• 同じ商品でも甘さレベルを2~3種類用意することを検討
• 商品パッケージや説明に甘さのレベル表示を導入
• 試食イベントで異なる甘さレベルの反応を観察する

嗜好形成の要因

2

甘さへの好みは、個人の味覚のほか、食習慣や健康志向が影響している可能性があります。近年は健康志向の高まりから、甘さを抑えた商品を選ぶ消費者が増えている背景も反映されているかもしれません。

💡マーケティングのヒント

• 「優しい甘さ」「自然な甘み」など健康志向の消費者に訴求するキーワードの活用
• 素材の自然な甘みを引き出す製法をアピールしたストーリーテリング
• カロリーや糖質に配慮した商品ラインの開発検討

商品開発やマーケティングへの示唆

3

今回の調査結果を踏まえると、「やや甘め」「控えめな甘さ」を中心に、他の風味にも配慮した商品開発が好まれそうです。特に少数派ながら明確な嗜好を持つ「甘み以外の風味重視」層にも対応できる選択肢を用意することで、幅広い層のニーズを満たせると考えられます。

💡製品戦略のヒント

• 風味の多様化（抹茶、きなこ、柚子など）で甘さ以外の魅力を強化
• 香りや食感など、味覚以外の感覚にも訴求する商品開発
• 顧客の好みに応じたパーソナライズ商品やギフトセットの提案

 

和菓子を購入する際、最も重要視する点は何ですか？

考察

「味」への強いこだわり

1

和菓子において見た目の美しさや作り手の伝統技術が注目されがちですが、最終的には味を重視する人が大半という結果です。これは和菓子の風味や口あたりが、購買行動を左右する最重要ポイントであることを示しています。

73%+ 味を最重視

📝ビジネス戦略

• 商品説明で具体的な味わいを詳細に伝える
• 試食キャンペーンや少量サンプルセットを提供
• 定番商品の味の一貫性を保ちながら、期間限定で味のバリエーションを提供

見た目の重要性

2

「見た目」を重視する割合は2割弱ですが、他の要因に比べて高めです。季節を感じられる意匠や色合いなど、和菓子特有の美しさが選択時の付加価値となっている可能性があります。

19% 見た目重視

📝ビジネス戦略

• 季節感や伝統的な美しさを高品質な写真で伝える
• 商品ごとの意匠の由来や季節との関連性を説明
• SNS映えする商品展開とインスタグラム等での発信強化

ニッチな要素への着目

3

「価格」「健康や素材」「保存性」「作り手のこだわり」などを最重要視する層は少数ですが、それぞれにこだわりをもつ消費者が存在します。特に健康意識の高まりやギフト需要などの観点から、特定の層に向けた差別化要素として重要になるかもしれません。

📝ビジネス戦略

• 厳選素材や産地へのこだわりを強調したプレミアムライン展開
• 職人の技術や歴史を伝えるストーリーテリングを商品に付加
• 健康志向の顧客向けに低糖質・自然素材を活かした商品開発

今後の展望

4

商品開発や販売戦略を考えるうえでは、味を中心にしつつ、見た目や作り手のストーリーを付加価値として伝えることが有効と思われます。加えて、少数派のニーズに対応した商品や情報提供も行うことで、幅広い消費者層を取り込める可能性があります。

📝長期的戦略

• 味・見た目・ストーリー性を統合したブランド体験の構築
• 顧客セグメント別のニーズに応じた商品ラインナップの拡充
• デジタルコンテンツを活用した和菓子の魅力や作り手のストーリー発信
• 顧客の声を取り入れた商品開発プロセスの確立

 

味を知らない状態で購入する判断基準は何ですか？

考察

視覚的要素とブランドイメージの重要性

1

味が分からない場合、パッケージやデザインといった視覚的な情報が大きな判断材料となります。これにより、商品を「手にとってみたい」「試してみたい」という初動につながる可能性が高いと考えられます。

購買意欲への影響度

🔍実践アイデア

• 和菓子の見た目の美しさを高解像度写真で伝える
• パッケージデザインに季節感や伝統的な要素を取り入れる
• 商品を手に取ったときの質感や重みをイメージできる表現を心がける
• ブランドの世界観を統一し、認知しやすいビジュアルアイデンティティを構築

限定感・特別感が与える購買動機

2

「限定」「特別」という付加価値は、希少性を強調して購買意欲を高める効果があります。季節ごとのイベントや期間限定キャンペーンを活用することで、より多くの消費者をひきつけられるでしょう。

購買意欲への影響度

🔍実践アイデア

• 季節限定商品のカレンダーを作成し、発売日を事前に告知
• 地域や店舗限定の商品を開発し、その土地ならではの価値を強調
• 「先着○○名様」「○日間限定」など具体的な数字で希少性を伝える
• お祝いや行事に合わせた特別パッケージの商品を展開

口コミとストーリーの影響

3

他の消費者の評価やレビュー、作り手のストーリーなど、商品に対する信頼や共感を得られる情報も重要な要素です。特にSNSなどによる口コミや話題性が高まれば、一気に購買意欲が増す可能性があります。

購買意欲への影響度

🔍実践アイデア

• 実際の顧客レビューを商品ページやパンフレットに掲載
• 職人や店主のこだわりや歴史を短いストーリー形式で伝える
• SNSでシェアしたくなるような写真映えする商品やパッケージの工夫
• インフルエンサーや地域の有名人とのコラボレーション企画

試食や新フレーバーへの期待

4

試食体験による納得感や、新しい味わいへの興味も購買のきっかけになります。これらは他の要素より比率は低いものの、実際の味を確かめられる安心感や斬新さを求める層が存在することを示しています。

購買意欲への影響度

🔍実践アイデア

• 店頭での小分け試食コーナーの充実や、オンラインでの小サイズお試しセット
• 季節ごとに新フレーバーを導入し、「新商品」としてアピール
• 食べ方の提案や組み合わせレシピの紹介で新しい楽しみ方を提案
• 購入者特典として次回使える試食クーポンの配布

 

どの種類の和菓子が一番好きですか？

考察

餅系の人気要因

1

調査結果によると、餅系（大福、餅）が64.2%と圧倒的な人気を誇っています。柔らかい食感とシンプルな甘さが幅広い層に支持されていると考えられます。バリエーションも豊富で、季節限定の餡やフルーツ入りなど多様な商品展開が人気を後押ししている可能性があります。

人気度比較

餅系（例：大福、餅） 64.2%

🔰商品戦略

• 食感の良さを保つための包装・保存方法の工夫
• 季節のフルーツを使った限定大福の定期的な展開
• SNS映えする彩りや形状のバリエーション開発
• 素材や製法にこだわった高級ラインの展開

生菓子・焼き菓子の魅力

2

生菓子（練り切り、団子など）は43.4%で第2位の人気カテゴリーとなっています。見た目や季節感を楽しめるうえに、口当たりの良さや新鮮さを好む人が多いと推測されます。焼き菓子（どら焼き、まんじゅうなど）は32.1%で、家庭で親しまれやすい商品が含まれ、保存性にも優れる点が人気の一因かもしれません。

人気度比較

生菓子（例：練り切り、団子など） 43.4%

焼き菓子（例：どら焼き、まんじゅう） 32.1%

🔰商品戦略

• 生菓子の季節感を強調した商品紹介とディスプレイ
• 焼き菓子の日持ちする特性を活かしたギフトセットの開発
• お茶との相性を提案するパッケージングやセット販売
• 伝統的レシピと現代的アレンジを組み合わせた商品ライン

多様な嗜好への対応

3

調査では乾菓子（17%）、最中（13.2%）、卵ボーロ（13.2%）、羊羹（11.3%）、飴（3.8%）など多様な和菓子も支持を集めています。これらの少数派の回答は、より特定の食感や風味を好む層が存在することを示唆しています。特に伝統的な製法を重んじる層や、素材・食感の違いを楽しむ層に向けた差別化が有効と考えられます。

人気度比較

乾菓子（例：せんべい、落雁） 17%

最中（例：あんこ入り薄皮） 13.2%

羊羹 11.3%

飴 3.8%

卵ボーロ 13.2%

生菓子（例：練り切り、羊羹） 1.9%

🔰商品戦略

• 職人技術や伝統を強調したストーリーづくり
• ギフト用高級ラインとしての特別パッケージ開発
• 独自性の高い素材や製法にこだわった商品の少量生産
• コアなファン向けの会員制度や定期購入プログラム

今後の展望

4

販売や商品開発では、まず人気の高い餅系や生菓子を中心に品揃えを強化するとともに、焼き菓子や乾菓子なども幅広く取り入れることで、多様な嗜好に合わせたラインナップを用意できる。加えて、季節限定商品や個性的な素材を活用することで、消費者の興味を引き続ける戦略が期待される。

🔰総合戦略

• 主力商品（餅系・生菓子）と特色商品（伝統菓子）のバランスを意識した品揃え
• 購入者データを分析し、嗜好パターンに基づいた商品開発
• 若年層向けと伝統重視層向けの商品を明確に区別したマーケティング
• 地域の特産品や季節の素材を取り入れた「物語性」のある商品開発
• オンラインと実店舗それぞれに適した商品カテゴリの強化（保存性・見た目など）

 

和菓子を購入する動機は何ですか？

考察

日常消費の重要性

1

多くの人が「普段のおやつ」として和菓子を購入しており（46.9%）、特別な日に限らず日常的に和菓子が親しまれている様子がうかがえます。日常消費向けに味や価格帯を調整した商品開発が、安定した需要につながる可能性があります。

購入シーン分析

普段のおやつとして 46.9%

💡マーケティング戦略

• リーズナブルな価格帯の日常消費向け商品ラインの強化
• 少量パックや個包装など、気軽に楽しめる商品形態の開発
• 「毎日の和のひととき」など日常消費を促すメッセージでの訴求
• コンビニやスーパーなど、日常的な購買場所での販路拡大

コミュニケーションツールとしての和菓子

2

「友人や家族と一緒に楽しむため」という回答が24.5%を占めており、和菓子が団らんの場を盛り上げるアイテムとして活用されていると考えられます。家族向けパックやシェアしやすいサイズ展開などの工夫が喜ばれそうです。

購入シーン分析

友人や家族と一緒に楽しむため 24.5%

💡マーケティング戦略

• 「みんなで楽しむ」をテーマにした詰め合わせセットの開発
• 食べ比べができる複数の味のバリエーションパック
• 「おうち時間」「団らん」などをキーワードにしたプロモーション
• SNSでシェア映えする盛り付けやパッケージのアイデア提案

季節感や限定性の活用

3

季節感を楽しむため（春・秋など）という理由で購入する人が14.3%いることから、季節ごとにラインアップを変えることは購買意欲の向上につながると考えられます。

購入シーン分析

季節感を楽しむため（春・秋など） 14.3%

💡マーケティング戦略

• 季節ごとの限定商品を計画的に展開するカレンダーマーケティング
• 「春夏秋冬」など季節感を前面に出したシリーズ展開
• 旬の素材を活かした商品開発と素材のストーリー訴求
• 「〇月〇日まで」など期間限定感を強調した販促展開

多様なニーズへの対応

4

特別な日（お祝い、行事など）のために購入する人が8.2%、プレゼントとして贈る目的の人が4.1%と、少数ではありますが特定のシーンを想定して和菓子を購入する層も存在します。用途やターゲットを明確にした高付加価値商品やギフト向けパッケージなど、ニーズに応じた多彩な提案が有効と思われます。

購入シーン分析

特別な日（お祝い、行事など）のため 8.2%

プレゼントとして贈るため 4.1%

その他 2%

💡マーケティング戦略

• 高級感のある包装や熨斗対応など贈答需要に応えるサービス強化
• 「お祝い」「お見舞い」など目的別のギフトセット開発
• 商品の背景や価値を伝えるストーリーカードの同梱
• 法人向け贈答品としての営業展開
• 特別な日向けの予約サービスやカスタマイズオプションの提供

  なぜ洋菓子ではなく、和菓子を贈り物として選びますか？  

考察

和菓子を購入する際、どのような形で販売されていると便利ですか？

考察

 

オンライン購入において、どんな改善があれば和菓子を購入したいと思いますか？

考察

和菓子のサービスに期待することは何ですか？

考察

 

和菓子を購入する際の障害や悩み

考察

考察

 

今後、和菓子店に期待する取り組み

考察

 

動画コンテンツ（商品紹介、製造など）を見て、購買意欲が高まったことがあるか

考察

動画による購買促進効果の大きさ

1

📊約半数の人が「何度も」購買意欲が高まったと回答しており、和菓子の製造工程や商品紹介などの動画は購買行動を喚起する有力な手段と考えられます。

✅実践ポイント

• 製造過程の動画は特に効果的 - 職人の技や素材へのこだわりを映像で伝える
• 季節限定商品などのタイムリーな動画コンテンツを定期的に発信する
• 動画内に商品購入へのCTAを効果的に配置する

潜在的顧客を後押しする情報の不足

2

「興味はあるが購入には至っていない」層が📊35.3%と比較的大きい点から、動画を視聴しても具体的に購入へ踏み切る決定打が不足している可能性があります。価格や購入方法、味の特徴をより具体的に伝えるなど、さらに踏み込んだ情報が求められているかもしれません。

✅実践ポイント

• 価格帯や購入方法をより明確に表示する
• 試食の感想や味の詳細な説明を動画に含める
• 「初回購入特典」など購入のハードルを下げる仕組みを導入する

複数の接点づくりの重要性

3

「1～2回程度ある」層を含めると、📊過半数以上が動画視聴をきっかけとして購買意欲が高まった経験があります。SNSや公式サイト、店舗での動画上映など、複数の接点を用意することでさらなる購買機会を創出できる可能性があります。

✅実践ポイント

• Instagram、YouTube、TikTokなど複数のプラットフォームで発信する
• 実店舗内にもデジタルサイネージを設置して動画を流す
• ECサイトの商品ページに動画を埋め込む

動画コンテンツの活用戦略

4

本格的な製造工程や商品へのこだわりを伝える映像は、興味喚起だけでなくブランディングや顧客ロイヤルティの向上にも役立ちます。購入をためらう層に向けては、実際の味や利用シーン、手に取りやすい価格帯など、具体的な情報を視覚的かつわかりやすく提供すると効果的と考えられます。

✅実践ポイント

• ストーリー性のある動画と商品情報に特化した動画を使い分ける
• 和菓子を楽しむシーンや組み合わせるお茶なども紹介する
• 既存顧客向けには深い知識やストーリー、新規顧客向けには具体的な商品情報と購入方法を重視する

考察

 

お店の情報を動画や画像以外で、さらに知りたい情報